QGIS:CAD平面図をQGISで表示させる

CADに作図された平面図をGISソフトで表示させると現地状況が把握しやすくなったり、現場踏査に役立つこともあり便利です。QGISでも以下のようなことが出来ます。

  • 地理院地図,googlemap,OSMなどのweb地図と重ね合わせて表示できる。
  • DEMも同時に表示できる。
  • googleストリートビューも平面図で向きを指定して表示できる。
  • GPS付きのタブレットなどを使えば、現在位置も同時に表示できる。
  • AndroidアプリのQFieldを使えば、現場でメモもとれる。

有料ソフトであればもっとすごいことが出来るのだと思いますが、私の経済力では維持できないので完全無料のQGISに頼っています。

本題ですが、CADで作図された平面図をQGISで表示できるようにするためには準備が必要ですので、順番に説明します。

  1. 【CADソフトでの準備】CADデータに測量座標系を付加する
     私も使っているV-nasやPipeRapidなどのCADでは、原点が用紙左下に設定されていますので、測量座標系を与える必要があります。これをしておかないとQGISで正しくない位置に表示されてしまいます。
     V-nasの場合は、まず座標系を作成し、次に地形図を構成している要素全てのプロパティに、その座標系を設定します。
     PipeRapidの場合は、相対原点を設定するだけです。
    座標系と原点の設定方法はここでは説明しませんので、使用されるCADの取説やヘルプなどにてご確認ください。
     なお、座標系はQGISの座標系と一致できれば何でも良いと思いますが、平面直角座標系が望ましいと思います。(近年は測量業者さんで作図された平面図CADデータにもともと平面直角座標系がセットされている場合も多いので。)
     座標系を設定したCADデータが出来たら、SXF形式にエクスポートします。

  2. 【公共測量ビューア・コンバータでの準備】SXF → shapefileに変換
     国土地理院のサイトにある公共測量ビューア・コンバータ(PSEA)をダウンロードします。このソフトも無料です。
     多機能なソフトですが、本作業においては特に難しいことはせず、SXF形式のCADデータをshapefileに変換させるだけです。
     大雑把な使用説明ですが、ソフトを起動させるとメインメニューが出てきますので、「CADデータ交換標準フォーマット(SXF)」からSXFファイルを読み込み、次にシェープファイルにエクスポートするだけです。読み込みの際に平面直角座標系の番号選択を間違えないように気をつけさえすれば、他に何も設定する必要はありません。というか何もしないほうが良いと思います。変換させるたびに余計なルーチンを挟むと大変ですので。

  3. 【QGISでの確認】正しい座標設定が行われているか確認
     上記でエクスポートしたシェープファイルのQGISへの取り込みが成功すると、web上の地図とシンクロします。その確認には、QuickMapServicesプラグインを使用するのが手軽かと思います。様々なweb地図を表示できるようになります。プラグインの導入方法や使用方法の説明は割愛させていただきます。
     ここで正しい位置に表示されない場合は、CADでの座標設定が間違っています。よくある間違いは、XYが転置している(V-nasでありがちです),単位が間違っている(PipeRapidでありがちです)です。

  4. 【QGISでの準備】文字を正しい傾きに表示させる
    国土地理院のコンバータでエクスポートしたシェープファイルファイルでは、文字データはポイントレイヤの属性テーブルに格納されています。
    属性テーブルには下図に示すような情報が格納されていますが、ここではTextとRotationのみ使います。


     QGISの画面に表示させるべき文字はTextフィールドに入っていますので、これをレイヤプロパティのラベルに設定します。
     まず、設定に関係する項目は下図において水色で囲った箇所です。
     「ラベル」にはTextフィールドを指定します。また「配置」を「ポイントからのオフセット」に指定するとCAD平面図に近い位置に配置されます。(他にも、文字サイズや位置を固定する方法もありますが、とりあえず割愛させていただきます。いつか別記事にて書きたいと思います。)

     次に「回転」の設定をします。この設定をしないと全ての文字列が水平に配置されてしまいます。文字列の角度はRotationフィールドに格納されていますので、上図の「回転」をクリックすると下図のような「文字列ビルダ」が現れますので、式に「-“Rotation”」と入力します。先頭にマイナス(-)を入力するのは、PESAとQGISで角度の正負方向が違うためです。入力した式に間違いがなければ画面下の「出力プレビュー」に角度が表示されます。

     なお、上記までの設定に問題なければ文字列がCAD平面図と同じ向きに表示されますが、ポイントも表示されたままの状態になっていますので、非表示にしたい場合は下図のように「シンポロジ」の設定を「シンポロジなし」とします。

  5. 確認してみます & おまけ
    1~4の設定および、ここでは説明していないですが線色や線種の設定などを行った結果を下図に示します。


     平面図の文字を見ると、それぞれ回転表示されているのが分かります。これはCAD平面図と全く同じ回転角となっています。

     おまけとして、今回は説明しませんが(省略ばかりですみません・・・)QGISで「go2streetview」というプラグインをインストールすると、googleストリートビューを表示させることも出来ます。なおこの機能を使うためにはAPIキーを取得する必要があり、また使いすぎると料金もかかりますので注意が必要です。1日数10回程度でしたら無料だとは思いますが。

もともとCADで作図された平面図であっても、GISソフトで読み込むことにより設計現場の見通しが良くなります。私も以前はGISは空間解析など高度な用途のためだけのソフトという認識でしたが、実施設計程度の用途であっても役立つということが分かりました。これからも活用していきたいと思います。

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