疑似的に1mメッシュDEMを生成させる(非推奨)

  • はじめに

最初にお断りしておきますと、本記事によるDEMの生成は推奨できる方法ではありません。国土地理院の5mメッシュDEMをQGIS(SAGA)にて1mピッチに補完させているだけですので、細部は正確ではありません。行政機関が1mメッシュを公開しているならそちらを使用すべきです。

ではどのような場合にこの方法が使えそうなのか。

私は下水道の縦断図を作図するにあたりDEMを使用するときがありますが、1スパンの延長が5m未満と短い場合は起終点とも同じ地盤高になってしまいます。地形が平坦であれば縦断計画に対する影響は小さいですが、傾斜がきつい地形ですと縦断計画に影響を及ぼし、また縦断図の見た目も違和感があります。しかしこれが1mメッシュのDEMであれば、少なくとも道路においては現地に近い形に近付くのではないかと考えました。

なおここでは、QGIS(SAGA)の「multilevel b-spline interpolation」を使って5mメッシュから1mメッシュに補完させていますが、実は私はこの機能の詳しい使い方や理屈などは存じ上げておりません。あくまでも設計計画の実務に使える程度の説明のみということでごご容赦ください。

  • 手順1:DEMデータのダウンロード

まず基盤地図情報ダウンロードサービス(https://fgd.gsi.go.jp/download/menu.php)の数値標高モデルより、任意の範囲のDEMデータをダウンロードします。メッシュサイズは5mと10mがあります。

  • 手順2:DEMデータからshapefileへの変換

次に手順1と同じく基盤地図情報ダウンロードサービスの「各種資料」タブ(https://fgd.gsi.go.jp/download/documents.html)から基盤地図情報ビューアをダウンロードし、任意のフォルダに展開します。

展開したフォルダの中にある「FGDV.exe」というソフトを起動し、「ファイル」→「新規プロジェクト作成」と進み、ダウンロードしたDEMデータを読み込み、shapefileにエクスポートさせます。

  • 手順3:QGISへの読み込み

上記のshapefileをQGISにて「レイヤの追加」にて追加するか、もしくは直接レイヤパネルにshapefileをドラッグするとポイントレイヤとして表示されるかと思います。なお次のステップに先立って、属性テーブルの項目名を日本語から英文字に変換させる必要があります。少なくとも私の環境では日本語のテーブル名では生成に失敗しました。その方法のひとつとして、プロセッシングツールボックスの「ベクターテーブル」→「属性のリファクタリング」があります。詳しくはドキュメントや他のネット情報をご参照ください。他にも諸々設定すると以下のような感じに近いものが出来ると思います。

  • 手順4:1mメッシュDEMの生成

ようやく1mメッシュDEMの生成を開始できますが、実は私がこの方法を見つけるまで少々苦労しました。

5mピッチから1mピッチのデータを生成するにあたってはデータ補完機能を活用するのですが、その方法を調べてみるといくつかあるようでした。私が見つけた限りでは下図に示す5種類だったのですが、うち4種類は期待通りに生成されませんでした。パラメータの設定が間違っているのだと思うのですが、いろいろ変えても結局1mメッシュは生成されませんでした。

最終的に出来たのが「Multilevel b-spline interpolation」という機能でした。

冒頭に申し上げたとおり、この機能の詳しいことは調べていませんので、各自必要に応じてお調べいただければと思います。ここでは最低限必要な設定を示します。

  • ポイント・・・・5mメッシュのポイントレイヤを指定します。
  • 属性・・・・・・標高値が格納されている属性を指定します。
  • セルサイズ・・・今回は1mメッシュを生成したいので、1.000と入力します。

設定を入力後「実行」を押すと1mメッシュのラスターDEMが生成されますので、問題無いことが確認できたらGEOTiffデータとして保存してください。

5mピッチのポイントレイヤに、生成された1mメッシュのラスターDEMを重ねると以下のようになります。

参考に、同じ方法で生成した5mメッシュのラスターDEMも以下に示します。1mメッシュと違って粗いことが分かるかと思います。

  • さいごに

繰り返しになりますが、この方法でDEMの精度が向上するわけではありません。見た目に滑らかになる程度と思ってもらった方が良いかと思います。私も細部までまだ確かめていませんが、河川の護岸など角ばった地形も滑らかになっているかも知れませんので、この方法を使用される際は各自ご注意お願いします。

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